もうだいぶ前からTIDALにはまっています。
TIDALはたしかノルウェー発祥のストリーミングサービスです。
TIDALの何がすごいか?、これはもう音質に尽きます!
Master音質だとハイレゾ相当のMQA(96kHz/24bit)なのです。もちろん全てそうではないのですが。
音質は1つ下にHiFi(44.1kHz/16bit)もあり、それも良い音なのですがクラシックのピアノ音楽の場合、致命的に大きく違う点が1つあります。
できる限り簡単にいうと、「ピアニストがピアノをどのくらいの音量で鳴らしているか?」がわかるということです。
私は仕事柄、コンサートグランドを弾く機会が多くあるのですが、コンサートホールの客席やリハーサル室で、今ピアニストががどのくらいの大きさ(小ささ)で楽器を鳴らし、音楽づくりをしているかは、いつも同業者として気にするところなのです。
割れんばかりの音でピアノの悲鳴が聞こえてきそうなffで鳴らすピアニストもいれば、オピッツのように、鳴らしすぎずにバランス良く、上品にピアノを歌わせるピアニストもいます。
私はソコロフの演奏を生で聴いたことはありません。リスペクトしている演奏家なので一度は聴いてみたいのですが。
今までDVDなどで聴いていた時には、ピアノをそこまで鳴らしていないかのように錯覚していました。
しかし、TIDALでこの映像と音を聴いた時に、想像以上に音がしっかりとした核を持っていたこと、物理的ダイナミクスの幅が想像以上に広いことに、とても驚きました。
そして、さらに、音色の操り方の多彩さに感心してしまったのです。
実際には、ある程度歳を重ねていけば、ピアノが本当に歌う美しいダイナミクスの範囲はわかってくるものです。(もちろんピアノによっても違うし、弾く人による感じ方も違います。)ただし、差はあれど、多くのピアニストはある程度の範囲内に収まるのもまた事実です。
同じブランドの同じサイズのピアノでも、個体個体によって差がありますが、その楽器の持ち味を探るのは、とても楽しいことでもあり、時に鬱憤の溜まることでもあります。
TIDALのすごいところは、自分が間近で、そのピアニストがどのくらいのバランスで、どのくらいの物理的ダイナミクスで楽器を鳴らしているか、が手に取るようにわかるところです。
これはもう、実際に生で聴いたことのないピアニストが、まるで私自身のスタジオで演奏してくれているようなものなのです。
あまりの情報量に、ピアノの素性の良さ(悪さ)までも感じてしまい、この楽器は好みではないな?とか、このピアノ弾いてみたいな、とかまで妄想が膨らんでしまうのです。
初めてTIDALでこの感覚を味わってしまった時は、感動して全身に震えが来ました。
これはCD相当の音では全くわからないことだったからです。
CDの音は、ある程度の音色や音場感はわかっても、楽器個体特有の、音の詳細な減衰まではわからないのです。
録音されたホールの残響や、編集によって作られた残響がそれをマスキングしてしまうからです。
ある程度自分が信頼のおけるシステムをお持ちであれば、ぜひTIDALを試してみてください。
といいたいとろなのですが、実は問題もあります。
現時点では、TIDALは、日本からの契約を受け付けていないのです。
もちろんやり方はあるのですが、ちょっと灰色がかっている気がするのでここには書きません。
自己解決できる方は是非お試しを!
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