ピアノを弾く人に限らず、楽器を演奏する人、演技をする人など、人前で表現をする機会があると思います。

お客さんから見ると、人前で表現をすることは、とてもステキなことです。

しかし反対に、ステージに立つ人は心おだやかではありません。ましてや、年に一度や数回しかステージに立たない人の場合、ほとんどの人が何らかのかたちで緊張するのではないでしょうか?

緊張にもいろいろな症状があることでしょう。体が固くなったり、汗をたくさんかいたり、時には手足のふるえを感じる人もいるかもしれません。

そして緊張が高まると、さらに呼吸が浅くなり、人によっては呼吸が止まりがちになる場合もあります。

そうなると連鎖反応が起き、いわゆる「上がった」状態になってしまうのです。

いったん上がってしまうと、心は平静でいられなくなり、落ち着きのない状態になります。

そして、その状態で自分のおかれた状況を「楽しい」と感じる人はいません。

ピアノの演奏は、演奏する人もそれを聴く人も、本来おたがいに楽しむためのものです。

演奏する人だけがひとりよがりに楽しんでしまったら、聴いている人はときに苦痛を感じることもあるでしょうし、聴いている人が客席で大きな音をたてたり騒ぎつづけたりすれば、演奏してる人も、集中力を欠くことになってしまいかねません。

また、弾いている人が極度に緊張していたら、聴いている人まで息がつまってしまうこともあるでしょう。

弾く側と聴く側にはある程度の距離感がクッションのように存在しています。そして、ほどよい距離感のバランスが保たれている時、お互いの存在を身近に感じて、それぞれの立場で「楽しむ」ことができるのではないでしょうか?

弾く人と聴く人は、同じコンサートホール内にいて、お互いのバランスがくずれているとき、いろんな不調和が生まれます。

しかし、弾いている本人にその気は無いのですが、弾き手がそのバランスをこわしてしまうことのほうが多いのです。そしてそのバランスをこわす原因が心や体の緊張なのです。

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