講座の原稿を書いているときに、ネットで調べ物をしていたらレギナ・スメンジャンカという文字を見て一気に固まってしまいました。

(講座の内容はきちんと裏を取って作っています。ネットで情報を調べることもありますが、書籍なり、楽譜なり、必ず実物を手に入れるための手段として使っています。)

頭の中が学生時代にタイムスリップして走馬灯のように情報を表示してくれ、その情報に触れたとき感動が蘇ったので書いておきます。

(スメンジャンカとMacで変換しようとすると毎回必ず「住めんじゃんか」と変換されてしまいツボにハマってしまいました。)

スメンジャンカ氏は確かポーランドのショパン音楽アカデミー(現ショパン音楽大学)の元学長で名誉教授でした。ベルリンフィルをはじめ世界中のオーケストラとの共演も多く、世界中を飛び回る超一流のピアニストでした。

と思い出しながら書いていたら、本を持っていたことを思い出し、今手に取っています。巻末にしっかりとした経歴がありますが、長くて立派ですので省略します。

彼女は武蔵野音楽大学で教鞭をとったこともあり、私もそのとき学生でしたので特別講座などほぼ全部の講座やコンサートを受講しました。

彼女は講座でも、とにかく頭脳明晰で、どう弾くか説明するにも完璧主義でした。そして話が長い。(笑)

彼女についていた門下生から聞くところによると、ショパンの曲はほぼ全曲暗譜していたとのことでした。ときに楽譜を見ずに何の曲でもアーティキュレーションについて生徒に説明をする様は凄まじかったと聞いています。

確かにコンサートのアンコールで、(おそらく音楽大学だからでしょう)何を弾くか一瞬戸惑ったようにして、ショパンエチュードを完璧なテクニックと音楽性で弾いてくれた時は鳥肌が立ちました。

記憶を呼び覚ますと、ピアノの鳴らし方も華奢な体からは想像もできないほどしっかりとしたものでした。ラローチャもしっかりとした遠くに跳ぶ音を出していましたが、それに近い感じです。ラローチャは丸い立体的でふくよかな音でしたが、彼女はちょっとギラっとした音でした。

その彼女が書いた本についてはあまりよく知られていません。しかし、とてもよく書かれた本で、プロの目からの専門的な洞察が伺える類い稀な本だと思います。

残念なことが一つだけあります。曲数はたくさん掲載されているのですが、非常に詳しく書かれている曲と簡略な解説になっているところの差が大きいのです。

しかし理由も書いてあります。

出版が遅れることを避けるためと書いていたので、年齢的なものあったのかなぁと思いました。

ただし、残念なことにもう売っていないのです。

(調べたらAmazonに中古で3冊ありましたが、定価2800円だったはずが4800円に上がっているのであまりおすすめはできません。もしかしたら定価が上がってしまったのかもしれませんが。いや、多分ないと思います。)

まだ学生から毛が生えた頃に行ったリサイタルでバルカローレを弾いた時、この本の意見はとても参考になりました。

気になる方は是非!

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