先日、依頼がありピアノの選定に行きました。

ピアノのメーカー名等くわしくは書きませんが、ちょっとびっくりしたのでその方のお話を少々加工して載せます。

その方曰く、新品のピアノが以前に比べて売れないとのことでした。

中古のピアノは以前ほどではないがちょこちょことは出てますとのことでした。

今回は新しいピアノの選定。

選定内容には触れませんが、確かに私も最近以前に比べて選定する機会が減りました。

ピアノが売れない理由は大きく考えて2つあるとのことでした。

1つ目は、新しいピアノはデザインが以前のものより洗練されていて見た目にもインパクトがあるが、それに反比例するかのように新品のピアノの音が以前より鳴らなくなっているとのことでした。(日本製のピアノか、海外製のピアノかも含めて、全部のピアノがそうではありません。ごく一部のピアノの話だと思います。)

しかも、すでにピアノの製造台数世界一は日本でなく中国だとも知りませんでした。

正直、極端なことを言えば、その辺の建材をうまく加工しても、響板のような(似て非なるものですが)ものは作れるとのことでした。

(あくまで考え方です。実際には高度な技術が必要です。)

当てはまる言葉が分かりませんが、積層響板とでも言えば良いのでしょうか?

もちろん、表面には化粧シートのようなものが貼ってあるので柾目はバッチリということでした。げっ..。)

今の量産技術を持ってすれば、素人の人が聞いた時、ピアノの音に聴こえるんですよ!というのです。

しかも、ずいぶん前から存在しているとのこと。

なんとなく冗談で「響板がベニヤでも音は出ますよ!」と技術者からジョークを聞いたことはありましたが、質は違えどジョークではないのかとショックを受けました。

いやぁ、勉強不足でした。

2つ目は、値段が上がったことです。ピアノの値段で大きな比率を占めるのは人件費だそうで、それが以前のようにかけられなくなっていることと、それにも増して数が出ないので量産効果が得られず結果的に値上がりしてしまうとのことでした。

また他の方から聞いは話では、Steinwayのフルコンでさえ、屋根の蝶番が4つから3つに減っていたり、最新のモデルは、ハンブルク製の突き上げ棒がニューヨーク製と同じものにになり、3段階から2段階になり、一番小さなほんのちょっとだけ屋根を開ける、ということができなくなっているとのことでした。

その程度のコストダウンって本当に必要なのでしょうか?

でも、コストダウンした上に、年々さらに価格が上がるということは、それだけコスト的に猛烈に厳しくなっているということの裏返しなのかもしれません。

まさか、一部の響板がそんなことになっているとは、仕事でピアノを弾いている私が知らなかったのですから、一般の人はやはり知らない人が多いのではないのでしょうか?

メーカーも喜んで情報を出しているわけではないけど、隠してはいないとのことでしたので、ピアノ弾きとしてもっと勉強せねばと思いました。

古いピアノですが美しい柾目です(私のピアノではありません)

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