オリンピックで活躍する選手たちは、すばらしい運動能力で、新しく記録を塗り替えたり難易度の高い技を見せてくれたりします。
彼らは、私たち一般の人々とくらべて、体のしくみや心のしくみが異なっているのでしょうか?
いいえ、そんなことはりません。
彼らは、日々のトレーニングをより効率的に行ったり、効率の良い方法を考えたり、最高の精神状態で競技や演技にいどむために、自分が最高にリラックスできる状態を、つねに作り出すことに長けた人たちなのです。
彼らは、緊張してしまったり、あせってしまったり、いらだってしまったり、不安を感じてしまっては、自分の実力を100パーセント、時にそれ以上の能力を発揮することは難しいことを知っています。
今、この文章を読んでくださっているあなたもまた、どんなシチュエーションでも100パーセントの実力を常に発揮することができるのです。
そのためには、方法を学べばいいのです。
ここでは、感情がわたしたちの音楽生活をどれだけ豊かにしてくれるものなのか、そして、オリンピック選手たちのようにコントロールできたら、どれだけ毎日のピアノ生活が豊かになるのか、読みすすめていただければと思います。
現在の私たちは、インターネットなどを使って、瞬時にたくさんの情報にふれることができるようになりました。
手紙を書くよりも圧倒的にみじかい時間でEメールを書き、メッセージアプリ、SNSはさらに時間差のないコミュニケーションや自己表現ができる時代になりました。
そのぶん、わたしたちはたくさんの情報に触れることが多くなり、そのたびごとに、さまざまなな感情をもつようになりました。
SNSで楽しいと感じた次の瞬間に、事件のニュースを見てこわいと思い、YouTubeをみたら、悲しくなり、また次の瞬間ワクワクしてしまうのです。
インターネットがなかった時代のに人々にくらべ、感情の入れかわる回数、ふれ幅、が膨大にふえたのです。
その結果、瞬間瞬間の自分の感情をじっくりとあじわったり、深く感じたりすることもまた減ってきました。
しだいに、わたしたち現代人は、自分の中にわきおこった感情が育つまえの小さな芽に気づきにくくなり、わきおこって大きくなってしまった感情にふりまわされやすくなりました。
では、感情とは一体何のためにあるのでしょうか?
ズバリいうと、感情は自分の身のまわりに起こるすべての出来事を自分の思いどおりに運ぶためにあるのです。
私たちには、人それぞれさまざまな理想や希望、目標があります。
その目標をかなえるための信号機の役割をはたすのが感情です。
もし、わたしたちの社会に信号がなかったら大変です。
自動車で、100キロ離れた場所にいく時、私たちは交差点にさしかかるたびにスピードを落として、神経をすりへらしながら、左右の安全を確認して、横切っていく車の合間をぬって、歩行者に注意しながら、おそるおそる通過していかなくてはなりません。
100キロの間に一体いくつの交差点があるのでしょうか?
考えただけでもいやになりますね。
しかし、信号があれば、ある程度安全に、ストレスなく目的地に到着することができます。
もちろん、毎回信号をきちんと確認すれば、のはなしですが・・。
信号(感情)があるのに、それを見ずに前に進んでしまうと、さまざまな事故やトラブルにまきこまれることになるかもしれません。
信号(感情)をきちんとみて行動していれば、私たちはどんな望みでも、最短の時間、距離で安全に実現することができます。
楽しんで(青信号)、喜んで(青信号)、行動をおこしてさえいればなにごとも望み通りにうまくいくのです。
逆に、不安(黄信号)、動揺(黄信号)、は危険の一歩手前です。
さらに、恐怖(赤信号)、心配(赤信号)目的地(望み)と反対方向に進むくらい、ゴールから私たちを遠ざけてしまうのです。

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