かれこれたくさんのピアノを選定してきました。自分のピアノはもちろんそうですが、依頼されて選定することは光栄なことであり、また身の引き締まる思いでいつも選定しています。

とにかく選定は大好きです。

ワクワクするからです。

いいピアノに巡り会えるといいなと、前の晩からいつも思います。

先日もまた選定依頼があり選んできました。

いろんな方が読んでくださっているかもしれないので、直近の選定のお話はしませんが、選定にはいろんなシチュエーションがあります。

・新しくピアノを購入予定の方(もしくは楽器店)からの依頼

・ホール等からの依頼

・業者の方に随行して海外で選定

などいろんな場合がありますが、それぞれに感じることがあります。

新しくピアノを購入予定の方からの依頼の場合、新品のピアノの場合、メーカーに出向くこともあれば、楽器店等で選定することもあります。

新品の3台のピアノから選定する時、選択肢は限られます。ほとんどの場合その3台のどれかを選ぶことになるからです。

ときに、初めて選ぶ場所に行くこともあります。

業者の方や調律師の方も初めてお会いする人たちです。

その時は中古ピアノを選ぶ時並みにエンジン全開で挑みます!

記事とは関係ありません、今は無き博多のビルです。

昔のエピソードですが、初めて選定する場所でのことです。

3台の同サイズの新品ピアノで満遍なく3台を弾いて試すと、1台だけ目立って整っているものがありました。(①)

他の2台は大きな調整が必要でした。

①のピアノは、明らかにタッチや音、バランスも整っているので、普通に選定するとついついそのピアノを選ぶ方が多いのではと思いました。

しかし、時間をかけて弾くと、響板とその他のどこかにどんどん違和感を感じてきたのです。そのことを調律師の方に話すと、頷くばかりで何もおっしゃりませんでした。

それで2台目(②)をさらに弾き込むと、最初の1台よりはバランスの良い響板を持っていて、なにより、次高音部にゆとりとパワーを感じました。低音部は好みではなかったのですが。

3台目(③)は下から上まで均一でしたがとにかく大人しかったので却下しました。

技術力のあるコンサートチューナーであれば、鳴りの良いピアノの音を場所に合わせて大人しくするのは難しいことではないからです。

結局②のピアノを選定しました。

選定後食事に誘っていただき、お話ししていると、あのピアノを選んでいただけるかもしれないと思いで、調整を念入りにしました、とのことでした。

はっきりとは言いませんでしたが、調律師の方もあのピアノを早く売りたいんだな、と伝わってきました。

これ以上は書きませんが、明らかに同じ型のピアノでも、他と比べて良い楽器はあります。

最終的にはピアノは設置される場所との相性が良ければ何十年も美しく鳴ってくれるので、問題はないのですが、やはりバランス良く成りの良い楽器は、いろんな場所に馴染みやすいのです。

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